「第8回嚥下食メニューコンテスト」決勝審査会を再現調理によって行いました。
今回は、コロナウイルス感染拡大防止の観点から、決勝審査会を集合形式による調理審査を行わず、映像コンテンツを制作し、インターネット上及び会場モニターで配信する形式で行いました。コロナウイルス蔓延の影響もあり、応募作品数は64件と昨年と同数に留まりましたが、栄養面や抗酸化等にも注力され、協賛企業の商品を効果的に活用するなど、内容的にもよく考え工夫されたハイレベルな作品が多く、書類審査での評価・選考が難航しました。一方で、「嚥下食ピラミッド」及び「嚥下調整食学会分類2013」の物性基準が不正確な応募作品も見受けられ、これまでの収穫と今後の課題が明示される結果となりました。
決勝審査は、一次審査によってノミネートされた4作品を、金谷審査委員長の監修のもと、専門スタッフによる再現調理を映像収録して、編集したコンテンツを制作しました。
タイトルメニュー
協賛企業
収録した映像コンテンツでは、最初に金谷節子氏による基調講演からスタート。調理審査は、決勝審査にノミネートされた4名の応募者にオンラインインタビューを行い、開発したメニューの特徴や工夫点、調理工程等をヒアリング。その内容を踏まえて、協力スタッフが2チームに分かれて調理を担当しました。
金谷 節子氏
基調講演
応募者のレシピをひとつ一つ紐解き、込められた思いとメニューの構成・特徴を受け止め理解しながら準備・調理を行い、レシピに記された工程に従って一品一品丁寧に仕上げていきました。オンラインの配信コンテンツであることを踏まえて、再現調理を行いながら各工程の重要なポイントを金谷審査委員長が解説。調理後には審査委員の柴本氏の評価コメントを挿入するなど、嚥下食・介護食を調理・提供する上で、必要なノウハウや大切なポイントを、分かり易く紹介しました。
「おいしい秋のごちそう~森のきのこのフラン かぼちゃのプリン・リンゴのコンポート・柿のマリネを添えて~」調理風景
盛付け
「南蛮エビのMisoグラタン~とろける雲丹パンを添えて~」調理風景
盛付け
「セコ蟹のノンフライクリームコロッケ~解禁日から2ヵ月間の贅沢~」調理風景
盛付け
「信州食材を使った 秋の郷土菓子」調理風景
盛付け
完成した料理を金谷審査委員長が賞味審査し、再現性や物性、味付けを評価・確認した結果により、グランプリ・準グランプリ・優秀賞を決定。最後に、金谷審査委員長の審査結果発表と各審査委員による講評をもって決勝審査会の映像コンテンツを締めくくりました。
審査結果発表
審査員講評(柴本 勇氏)
「記念講演」には昨年の同コンテストで最優秀グランプリを受賞された松林ケアセンターの宮城島氏を招聘し、映像収録。「未知な嚥下食への挑戦が松林ケアセンターの道を切り開く」のタイトルのもと、ご利用者さまやスタッフの方の声を取り上げながら、嚥下食に取り組んで来られた経緯とその成果を分かり易くお話くださいました。
宮城島 宏氏
記念セミナーの様子
いずれの映像コンテンツも、「メディケアフーズ展2021」のオンライン展示会にて配信され、会場にお越しになられない方も含めて、たくさんの方に視聴していただくことができました。また、決勝審査会の様子は「メディケアフーズ展」の会場内に設置されたモニターでも放映されると、足をとめて映像に見入っている来場者もいらっしゃいました。
展示ブース
嚥下食メニューコンテストコーナー
今回は、最優秀グランプリを受賞したメニューが、比較的手に入りやすい季節の食材を活かし、おいしい嚥下食としての完成度だけでなく、保存性や再現性の高さも大きく評価されました。従来のように展示会会場での決勝審査や表彰式ができず、応募者による調理を直接ご覧になっていただけなかったのは残念でしたが、インターネットと動画を活用したことで、決勝審査会の会場にお越しになられない方々にも、嚥下食・介護食調理のノウハウはもちろん、その魅力と可能性を存分にお伝えする貴重な機会となりました。 最後に、当コンテストに応募くださった多くの皆さま、運営をサポートしてくださったスタッフの方々、さらには協賛・協力・後援いただきました各企業さま等、関係各位に心から感謝を申し上げ、ご報告とさせていただきます。
■審査結果
<最優秀グランプリ>
「おいしい秋のごちそう~森のきのこのフラン かぼちゃのプリン・リンゴのコンポート・柿のマリネを添えて~」
有限会社月翔「嚥下食工房 七日屋」所長
牟田園 満佐子氏
<準グランプリ>
「南蛮エビのMisoグラタン ~とろける雲丹パンを添えて~」
社会福祉法人長岡福祉協会 介護老人保健施設 サンプラザ長岡 調理師
水澤 慶太氏
<優秀賞>
「セコ蟹のノンフライクリームコロッケ ~解禁日から2ヵ月間の贅沢~」
セコムフォートウエスト株式会社 調理師
中山 隆利氏
<優秀賞>
「信州食材を使った 秋の郷土菓子」
社会福祉法人新志福祉会 特別養護老人ホームふれあい荘 調理師
生田 知紘氏