「第6回嚥下食メニューコンテスト」決勝審査会を実施しました。
この度、「一般社団法人日本医療福祉セントラルキッチン協会」との共催により、「~地域の伝統食からオードブル・デザートまで~第6回『嚥下食メニューコンテスト』」を実施しました。
6回目となる今回は、決勝審査会の場を昨年までの「フードシステムソリューション」から「メディケアフーズ展」に変更した関係から、応募作品募集の開始を約4ヶ月遅らせての実施となりました。
その影響からか、応募作品数は79件と昨年を下回る結果となりましたが、内容的にはレベルの高い力作揃いで、金谷審査委員長による書類審査での評価点数を見ても、3部門とも僅かの点差の中に多数の作品がひしめく状態で、決勝審査に進出する6作品への絞り込みは、大変な難作業となりました。
決勝審査会は、2019年1月23日(水)「メディケアフーズ展2019」内の特設会場で実施。今回の会場は、昨年までと違って通路に面した2面がオープンに開けた開放的な構造であったこと、さらには展示会自体、嚥下食・介護食をメインテーマとするイベントであったことなどにより、終始多数のお客さまに観覧いただくことができました。

コンテスト概要説明
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審査風景
審査は、一般料理部門、デザート部門、行事食部門の順で決勝審査にノミネートされた各部門の2チームが、ステージにセットされたIHクッキングヒーターやスチームコンベクションオーブン、ブラストチラー、ミキサーなどを使って20分間の実演調理を行い、出来上がった料理を3名の審査員が試食・採点する方法で進行。
まず初めに、一般料理部門の「とろける天ぷら~青森の海と山の幸~」と「ずっとあたたか~い香り高いピッツァマルゲリータ」の2チームに、特設ステージで順次調理いただきました。途中、調理作業をモニターで中継しながら、金谷氏から各チームの作品と決勝審査進出のポイントを解説。続いて各チームにメニュー開発の経緯や特徴、調理のポイント等のインタビューを行いました。

みちのく金谷デイサービスセンター
小笠原 敬氏・村田 裕氏
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「とろける天ぷら~青森の海と山の幸~」
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特別養護老人ホームさつき荘
相田 裕也氏・大平 真宏氏
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「ずっとあたたか~い香り高いピッツァマルゲリータ」
続いて、デザート部門にノミネートされた「とろけるパンケーキ!モンブラン仕立て」と「マジカルケーキ~糖尿病患者さんの血糖値も上昇しない魔法のケーキ~」の2チームによる調理審査が順次スタートしました。一般のレストランからの応募作品で初めて決勝審査会へのノミネートとなった彩り豊かなパンケーキと、摂食・嚥下障害だけでなく糖尿病をお持ちの患者さんでも美味しく食べられる画期的なケーキの調理プレゼンは、興味深い知見が多数盛り込まれた内容で、嚥下食の可能性を広げる新たな1歩となりました。
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カフェテラス・ミモザ
芝岡 太一朗氏・芝岡 みなみ氏
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「とろけるパンケーキ!モンブラン仕立て」
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医療法人和風会 中島病院
古和 優弥子氏・有岡 由真氏
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「マジカルケーキ~糖尿病患者さんの血糖値も上昇しない魔法のケーキ~」
デザート部門の調理審査が終了すると、「北海道産クリームチーズ 3種の調理法“みそ漬け焼き・カンノーロ風・黒豆和え”ア・ラ・ジャポネーゼ」と「ホタテとアボカドのビシソワーズ~新鮮長岡野菜を添えて~」の2品による行事食部門の調理審査が行われました。双方ともフランス料理の技法をベースに地元の食材をふんだんに取り入れた創作メニューを披露。物性基準を担保しながら、見た目にも美しくアンチエイジングや栄養面にも配慮されたハイレベルなメニュー紹介は、見応えのある調理対決となりました。
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特別養護老人ホームひかりの
小林 利幸氏
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「北海道産クリームチーズ 3種の調理法“みそ漬け焼き・カンノーロ風・黒豆和え”ア・ラ・ジャポネーゼ」

社会福祉法人長岡福祉協会 介護老人保健施設 サンプラザ長岡
水澤 慶太氏・阿部 徹氏
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「ホタテとアボカドのビシソワーズ~新鮮長岡野菜を添えて~」
観覧者の皆さまは、各チームによって手際よく仕上げられる嚥下食とは思えない、見るからに美しくおいしそうな料理の数々に、感嘆の声を挙げておられました。
調理審査を終えた審査員の皆さまは、別室に移動してそれぞれの専門的立場からの評点を中心に協議を行い、グランプリ・部門大賞・優秀賞の選考に取り組まれていましたが、各作品とも、特筆に値する評価点を具備していることから、審査は難航。最終的に書類審査での評価点を含めた総合的な観点から各賞が決定されました。
審査時間を利用して、会場では伊那食品工業株式会社による協賛企業プレゼンの後、昨年度の部門大賞受賞者である社会福祉法人慶寿会 松林ケアセンターの管理栄養士 宮城嶋宏氏による記念セミナー「喫食者に喜ばれる美味しい嚥下食・介護食づくりを目指して」を実施。介護スタッフと一体となってご利用者一人ひとりの精神的・身体的条件に寄り添った食事サービスを実現しておられる講師のお話に、聴講者の皆さまは、メモをとりながら熱心に耳を傾けておられました。
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記念セミナー風景
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宮城島 宏氏
最後に、審査結果発表と表彰式が行われ、最優秀グランプリに輝いた「特別養護老人ホームひかりの」の小林利幸氏を筆頭に、表彰状と賞金が手渡された後、片岡氏、柴本氏、金谷氏の順に講評が行われ、決勝審査会はつつがなく終了しました。
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審査結果発表
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表彰状授与
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賞金授与
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表彰楯授与
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片岡護氏講評
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柴本勇氏講評
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金谷節子氏講評
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集合写真
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最優秀グランプリ
特別養護老人ホームひかりの 様
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料理展示
今回は、応募作品数は少なかったものの、初めてレストランからの応募作品が決勝審査会にノミネートされたこと、嚥下食には不可能と思われていた天ぷらの嚥下食が部門大賞を獲得したことなど、画期的な成果を印すことができました。
最後に、当コンテストに応募くださった多くの皆さま、運営をサポートしてくださったスタッフの方々、さらには協賛・協力・後援いただきました各企業さま等、関係各位に心から感謝を申し上げ、ご報告とさせていただきます。