「第12回嚥下食メニューコンテスト」決勝審査会を実施しました。

この度、「一般社団法人日本医療福祉セントラルキッチン協会」との共催により、「~地域の伝統食からオードブル・デザートまで~第12回『嚥下食メニューコンテスト』」を実施しました。

今回は、医療・福祉施設の関係者のほか学生さんからもたくさん応募いただき、北は北海道、南は沖縄まで全国各地から地域に伝わる伝統メニューや特産品を使ったバラエティに富んだハイレベルな作品が多数寄せられました。特に学生を含む若い方々からの斬新なアイデアと工夫が詰め込まれた作品の割合が増え、常食と見紛うほどの出来栄えや、物性と味覚を両立するための卓越した技法を確立した作品など、応募作品の全体的なレベルが大幅に向上。一次審査での評価と決勝審査に進出する5作品への絞り込みは難航しました。

決勝審査会は、2025年2月27日(木)「メディケアフーズ展2025」内のセミナー第2会場で実施。昨年同様に決勝審査会のスタートから調理審査までを第一部、記念セミナーから表彰式までを第二部とし、事前申込制にて募集したところ、定員を超える申込みをいただくことができ、第一部・第二部を通して多くの方が観覧くださいました。

タイトルメニュー

主催者代表挨拶

協賛企業

審査会風景

まず、主催者を代表して一般社団法人日本医療福祉セントラルキッチン協会の三田代表理事が代表挨拶を行い、金谷審査員長による概要説明の後、審査会がスタート。決勝審査会にノミネートされた5チームが、ステージにセットされたIH調理器やスチームコンベクションオーブン、ブラストチラー、ミキサー類などを使って20分間の実演プレゼンテーションを行い、完成した料理を金谷・大西・片岡の3名の審査員が試食・採点する方法で進められました。

1組目は、福井県で有名なおろしそばを中心に福井の特産品で構成された「福井欲張り‼おろしそば御膳 ~福井のおいしいもん、食べにきねの~」の調理を特設ステージで披露いただきました。途中、調理作業をモニターで中継しながら、金谷氏から各チームの作品と決勝審査進出のポイントを解説。続いてメニュー開発の経緯や特徴、調理のポイント等のインタビューを行いました。

金谷 節子氏

医療法人健康会 嶋田病院
森下 麻稀氏・村田 理沙氏

基調講演

福井欲張り‼おろしそば御膳~福井のおいしいもん、食べにきねの~

基調講演

調理審査風景

基調講演

調理審査風景

続いて、2組目は厚い衣で調理された沖縄天ぷらの嚥下食「やわらか沖縄天ぷら さんぴん茶を添えて」でした。紅芋味とイカ味の天ぷらにさんぴん茶を沿えたメニューは、舌で潰せる固さを担保しながら、揚げた際に衣が外に溶け出さないように卵白や片栗粉、メレンゲやプチドリップ等を使用し、ふっくら・しっとりとした食感に仕上げられました。

医療法人 ゆうの森西村 健太郎氏・永井 慶子氏

社会福祉法人陽風会 特別養護老人ホーム前島
白玉 明子氏・関 千枝氏

やわらか沖縄天ぷら さんぴん茶を添えて

やわらか沖縄天ぷら さんぴん茶を添えて

調理審査風景

調理審査風景

調理審査風景

調理審査風景

3組目は、施設で実施している長年連れ添ったご夫婦が再び愛を誓いあう「バウリニューアルデイ」という結婚式の行事にあわせて、従来の各ご夫婦にあわせて作ってきたウェディングケーキに代わるデザートプレートをテーマに開発された「四季の彩り、庄内からの贈り物」を披露してくださいました。「だだちゃ豆」という活きた文化財ともいえる伝統の味やブランド米「つや姫」を贅沢に使用して庄内地方の四季折々の風景や味わいを表現されました。

有限会社 月翔 嚥下食工房 七日屋牟田園 満佐子氏・松井 由理氏

老人保健施設のぞみの園
齋藤 美咲氏・本間 藍氏

口福膳(嚥下食メニューコンテストSPバージョン)

四季の彩り、庄内からの贈り物

調理審査風景

調理審査風景

調理審査風景

調理審査風景

4組目は、「馬刺しを食べたい」というご利用者の声から開発された『馬刺し』でした。安全性を担保しつつ喫食者が嚥下食と感じることなく昔食べた「馬刺し」を思い出してもらえるようにとのコンセプト通り、スプーンでカットして食べることはもちろん、箸でとって食べることもできる絶妙な固さと食感・味覚を見事に表現された至高の嚥下食となりました。

セントケア東京(株)アルタクラッセ二子玉川吉野 栄里子氏・村田 幸江氏

桜十字福岡病院
松尾 頼氏・伊藤 大将氏

からだが喜ぶ、養生食

『馬刺し』

調理審査風景

調理審査風景

調理審査風景

調理審査風景

最後に、北海道産の牛肉や野菜を使った「ある女の子のために北海道食材で作ったビーフシチュー~2011年石巻での約束~」の調理審査が行われました。常食と変わらない見た目を担保するため、人参に高圧スチームをかけながら加熱したり、肉の茶色やジャガイモ・人参の色鮮やかな状態を残しながらカットしたりするなど、卓越した調理技術を駆使しながら仕上げられた定番メニューは、食材の旨味・甘味を存分に引き出した圧巻の出来栄えでした。

医療法人社団 慈誠会前野病附属介護医療院関 千枝氏・山村 千恵氏

修学院札幌調理師専門学校
小林 利幸氏

ある女の子のために北海道食材で作ったビーフシチュー~2011年石巻での約束~

ある女の子のために北海道食材で作ったビーフシチュー~2011年石巻での約束~

調理審査風景

調理審査風景

調理審査風景

調理審査風景

観覧者の皆さまは、金谷審査員長の解説や出場者のプレゼンテーションに耳を傾けながら、各出場者が披露する卓越した技術やユニークなアイデア満載のメニュー&調理手法に驚嘆された様子で、各出場者のプレゼンテーションが終わる度に、心のこもった大きな拍手を送っていらっしゃいました。

調理審査を終えた3名の審査員は、別室に移動してそれぞれの専門的立場からの評点を中心に協議を行い、グランプリ・準グランプリ・優秀賞の選考に取り組まれ、書類審査での評価点と決勝審査会での内容を踏まえた総合的な観点から、各賞を選定されました。

審査時間を利用して、会場では昨年度最優秀グランプリを受賞された医療法人ゆうの森 たんぽぽのおうち クックラボの西村健太郎氏による記念セミナー「患者様の食べたいを叶えるKanauプロジェクト“食”にかける思い」を実施。西村氏が嚥下食に取り組むきっかけから、たんぽぽのおうちに至るまでの歩み、さらには現在実践している取り組みとその成果まで、写真や映像を駆使して分かり易く紹介してくださいました。あわせて、昨年グランプリを受賞したメニューの試食を配付し会場の皆さまへお配りしたところ、観覧者の方々は大変喜ばれ、物性や味を確かめながら美味しそうに召し上がっていらっしゃいました。

西村 健太郎氏

西村 健太郎氏

記念セミナー聴講風景

記念セミナー聴講風景

その後、審査結果発表と表彰式が行われ、最優秀グランプリに輝いた桜十字福岡病院の松尾 頼氏を筆頭に、表彰状と楯・賞金が手渡された後、片岡氏、大西氏、金谷氏の順に講評が行われ、決勝審査会はつつがなく終了しました。

審査結果発表

審査結果発表

最優秀グランプリ発表

最優秀グランプリ発表

表彰状授与

表彰状授与

表彰状授与

表彰楯授与

賞金授与

賞金授与

片岡護氏講評

片岡護氏講評

大西環氏講評

大西環氏講評

金谷節子氏講評

金谷節子氏講評

最優秀グランプリ桜十字福岡病院 様

最優秀グランプリ
桜十字福岡病院 様

副賞(ブリクサー)授与

最優秀グランプリ受賞インタビュー

賞金授与

準グランプリ
修学院札幌調理師専門学校 様

集合写真

集合写真

厨房ステージ(IH調理器)

厨房ステージ(IH調理器)

厨房ステージ(冷却・加熱機器)

厨房ステージ(冷却・加熱機器)

表彰楯&目録

表彰楯&目録

協賛企業様ロゴ看板

協賛企業様ロゴ看板

会場風景

会場風景

会場風景

会場風景

今回は、応募総数が昨年に比べて増えたことや決勝審査会の観覧者数が多かったことに加えて、比較的年齢の若い層や経験の浅い方からの応募・出場が増えたことなど、社会全体の嚥下食・介護食に対する関心及びニーズの高まりを感じられた貴重な機会となりました。

最後に、当コンテストに応募くださった多くの皆さま、運営をサポートしてくださったスタッフの方々、さらには協賛・協力・後援いただきました各企業さま等、関係各位に心から感謝を申し上げます。

■審査結果

<最優秀グランプリ>

『馬刺し』
(桜十字福岡病院 料理人 松尾頼 氏)

<準グランプリ> 

「ある女の子のために北海道食材で作ったビーフシチュー~2011年石巻での約束~」
(修学院札幌調理師専門学校 管理栄養士 小林利幸 氏)

<優秀賞>

賞金授与

「福井欲張り‼おろしそば御膳 ~福井のおいしいもん、食べにきねの~」
(医療法人 健康会 嶋田病院 管理栄養士 森下麻稀 氏)

<優秀賞>

表彰楯授与

「やわらか沖縄天ぷら さんぴん茶を添えて」
(社会福祉法人陽風会 特別養護老人ホーム前島 管理栄養士 白玉明子 氏)

<優秀賞>

表彰楯授与

「四季の彩り、庄内からの贈り物」
(老人保健施設のぞみの園 管理栄養士 齋藤美咲 氏)

入賞作品一覧はこちらをご覧ください。