介護食(キザミ食)における衛生管理に関する研究

研究目的

 介護食(キザミ食)の利用者は高齢者等の易感染者の場合が多く、細菌に対しての抵抗力も弱いため、衛生については細心の注意をはらう必要がある。キザミ食を提供している各施設においても衛生管理には十分気をつけた調理を心がけているが実際の衛生状態やキザミ食のリスク、二次汚染における菌の動態などの衛生学的研究はきわめて少なく、報告事例もほとんどない。そこで本研究は、現場で提供されている介護食(キザミ食)の衛生状態の把握、キザミ操作による菌の汚染率、キザミ食が二次汚染を受けた場合の菌の動態について調査した。

1.一般食とキザミ食の汚染状況について

検査対象食品

K病院の一般食及びキザミ食 4品

豆腐入り肉団子の煮物 ホウレン草の磯和え
一般食 キザミ食 一般食 キザミ食
豆腐入り肉団子の煮物 一般食 豆腐入り肉団子の煮物 キザミ食 豆腐入り肉団子の煮物 一般食 豆腐入り肉団子の煮物 キザミ食
大根と人参の煮物 青梗菜の中華スープ
一般食 キザミ食 一般食 キザミ食
大根と人参の煮物 一般食 大根と人参の煮物 キザミ食 青梗菜の中華スープ 一般食 青梗菜の中華スープ キザミ食

検査方法

検査方法

検査項目及び培地

  • ●一般生菌数(標準寒天培地)
  • ●大腸菌群(デスオキシコーレイト寒天培地)
  • ●大腸菌(E.coli)(ペトリフィルム大腸菌選択用)
  • ●黄色ブドウ球菌(ペトリフィルム黄ブ菌選択用)

結果及び考察

  一般生菌 大腸菌群 E.coli 黄色ブドウ球菌
肉団子の煮物 一般食 (ー) (ー) (ー) (ー)
キザミ食 2.6×103CFU (ー) (ー) (ー)
ホウレン草の磯和え 一般食 (ー) (ー) (ー) (ー)
キザミ食 2.9×104CFU 5.1×102CFU (ー) (ー)
大根と人参の煮物 一般食 (ー) (ー) (ー) (ー)
キザミ食 1.5×10CFU (ー) (ー) (ー)
青梗菜の中華スープ 一般食 (ー) (ー) (ー) (ー)
キザミ食 2.5×10CFU (ー) (ー) (ー)

豆腐入り肉団子の煮物

豆腐入り肉団子の煮物 汚染状態

ほうれん草の磯和え

ほうれん草の磯和え 汚染状態

大根と人参の煮物

大根と人参の煮物 汚染状態

青梗菜の中華スープ

青梗菜の中華スープ 汚染状態

 検査した全てのキザミ食から一般生菌が検出された。ホウレン草の磯和えからは大腸菌群も検出された。E.coli及び黄色ブドウ球菌は検出されなかった。一般食からは一般生菌、大腸菌群、E.coli及び黄色ブドウ球菌について、全て未検出だった。これらの結果からキザミ食はキザミ操作を行うことにより、一般生菌及び大腸菌群の汚染を受けていることが確認できた。一般食は衛生基準を守った加熱調理を行い、衛生的な状態で喫食者に提供されていることが解った。今回検出された4食品の菌数はそれほど多い菌数ではなく、衛生学的に問題ない範囲であるがノロウイルスやOー157(腸管出血性大腸菌)、カンピロバクターなど少量でも食中毒を引き起こす菌が存在するため、キザミ操作中の菌の混入には特に注意が必要であると思われた。