嚥下食ドットコム「第2回嚥下食実習講座」実施レポート

令和元年度初の「嚥下食・介護食セミナー」を
株式会社エフ・エム・アイ東京本社 テストキッチンで開催しました。

 「嚥下食ドットコム」と「一般社団法人日本医療福祉セントラルキッチン協会」の共催による令和元年度初めての「嚥下食・介護食セミナーin東京」を東京都港区の「株株式会社エフ・エム・アイ東京本社 テストキッチン」で開催しました。セミナーは、“おいしく安全な嚥下食・介護食づくりのツボとコツ”をタイトルに半日間のカリキュラムで構成。都合により当日欠席された方を除く、47名の皆さまに参加いただきました。

 セミナーは、定刻の13時30分にスタート。主催者である一般社団法人日本医療福祉セントラルキッチン協会 代表理事の東條桂子氏の挨拶と事務局からのオリエンテーションを経て、13時35分から金谷栄養研究所 所長の金谷節子氏による基調講演が行われました。金谷氏は、「嚥下食・介護食づくりに必要なこと」をテーマに、医療・福祉給食をはじめとする嚥下困難者への食事サービスにおいて、美味しく安全な嚥下食を提供するために必要な基礎知識や最新の学術研究成果、トレンド情報などをデータや写真を示しながら具体的に紹介くださいました。受講者の皆さまは、最新のエビデンスやノウハウがぎっしりと詰まった興味深いお話しに、メモを取りながら熱心に聞き入っていらっしゃいました。

 14時5分からの株式会社林原の協賛企業商品紹介と小休憩を挟んで、14時30分からは、「第6回 嚥下食メニューコンテスト」で部門大賞を受賞された社会福祉法人青森社会福祉振興団の徳田努氏と小笠原敬氏による「高齢者への食事サービスの概要とおいしい嚥下食・介護食調理のポイント~『とろける天ぷら』の調理ノウハウを実演披露~」と題した講演&調理紹介を行いました。最初に、「みちのく荘『食』の歩み」をテーマに徳田氏が青森社会福祉振興団の概要や早くからゼリー食やバイキング食を取り入れた食事サービスの歴史、現在の美味しく安全で効率的な食事サービスを支える真空調理法についてご紹介。あわせて、真空調理によるオーバーナイトクッキングによってやわらかく調理された「サンマのピリ辛味」の試食を召し上がっていただきました。

 その後、小笠原氏が嚥下食開発に尽力してこられた経験を基に、高齢者に人気が高い餅や揚げ物などを嚥下食への加工するために工夫したポイントや苦労した点、さらには「第6回嚥下食メニューコンテスト」の受賞作品である「とろける天ぷら」の試行錯誤しながら開発に至った経緯とその調理ノウハウを、実演を交えながら分かり易く説明してくださいました。途中、帆立貝とのばし海老の天ぷらが試食として配られると、受講者の皆さまは感嘆の声を漏らしながら、美味しそうに召し上がっていらっしゃいました。

セミナー開始

セミナー風景

金谷節子氏

金谷 節子氏

講演風景

徳田 努氏

 約15分の休憩を挟んで、聖隷横浜病院 リハビリテーション室 言語聴覚士の前田広士氏を講師にお迎えし、「物性基準の理解と摂食支援について」と題した講義&体験を行いました。前田氏は、嚥下食ピラミッドをはじめとする各基準や嚥下のメカニズムについて比較・解説しながら、メーカーの既製品等を実際に食べ比べることで、基準レベルごとの物性の違いや正しい摂食支援の方法をご教授くださいました。受講者の中には、言語聴覚士が在籍しない病院や施設にお勤めの方も多く、ノウハウを持ち帰ろうと講師のお話に耳を向けながら、フードテストや試食体験などのカリキュラムに熱心に取り組んでいらっしゃいました。

調理紹介

調理紹介

宮城島 宏氏

講演&調理紹介風景

講演風景

「とろける天ぷら」の試食

 セミナーの最後には、質疑応答と主催者からの締めの挨拶が行われ、全てのカリキュラムが終了となりました。

 受講者の皆様に協力いただいたアンケートには、「とろける天ぷらの調理ノウハウは、働いている施設でも大変活かせる内容でした」、「段階違いの嚥下食を食べ比べることができ、分かりやすかった」、「非常に感動し、泣きそうになりました」など、喜びと感激の声が多数寄せられました。

4品の試食

前田 広士氏

協賛社展示風景

講義&体験風景

協賛社展示風景

協賛社展示風景

 最後に、ご協力いただいた講師の方々やご協賛社をはじめとする関係者の皆さまに心から感謝申し上げます。

■開催概要

嚥下食・介護食セミナーin東京
「おいしく安全な嚥下食・介護食づくりのツボとコツ」

  • 日時:令和元年8月23日(金) 13:30~16:50
  • 会場:株式会社エフ・エム・アイ東京本社 テストキッチン
    (〒106-0041 東京都港区麻布台1-11-9)